全国的に注目を集める新しいスタイルの保育・幼児教育「自然保育」。
屋外での遊びや運動を中心に様々な体験を深め、知力・体力を同時に高めることができると言われています。
円福幼稚園は2015年よりスタートした長野県の「信州型自然保育認定制度(愛称:信州やまほいく)」に認定されました。
これからも、自然や地域の環境を活かした活動を通じて、子どもたちの好奇心や感性が豊かに育まれ、さらに異年齢の集団活動の中でコミュニケーションや社会性、自尊心や自己肯定感の向上に取り組んで参ります。
信州型自然保育認定制度について
制度の概要
いま、日本の子どもの自己肯定感の低さや孤立感の広がりは深刻な状況になりつつあり、長野県の子どもも例外ではありません。
子どもの自己肯定感の向上には、子ども一人ひとりの多様な特性や能力に応じた「出番と居場所」、そして「その子に合った育ち方の保証」がとても重要です。
自然の懐は広く深く、子どもも大人も受容し心身の解放を促してくれます。
全国有数の豊かな自然を誇る信州だからこそ、もっと自然を身近に感じ、地域の中で様々な体験ができる環境を大切にしたいと考えます。
長野県は「しあわせ信州」の実現を掲げています。
幼児期の豊かな体験が子供の育ちをしっかり支える「人生の根っこ」となり、どの子供にとっても「しあわせ」が実感できる「子育て先進県ながの」を目指します。
認定区分と認定基準
信州型自然保育(特化型)
「質、量ともに自然保育に重点を置いて取り組んでいる活動」
特化型の限定基準
- 一週間で合計15時間以上、屋外を中心とした体験活動が行われている。
- 通算2年以上の自然体験活動の指導経験がある常勤保育者が半数以上いる。
- 安全管理の専門講習を受講した常勤保育者がいる。
信州型自然保育(普及型)
「他のプログラムと合わせて、自然保育にも積極的に取り組んでいる活動」
普及型の限定基準
一週間で合計5時間以上、屋外を中心とした体験活動が行われている。
★当園は普及型となっております。
2つの区分に共通する主な認定基準
- 屋外での子どもの自然体験活動が、毎月計画的に実施されている。
- 屋外での子どもの自然体験活動に使用できる場所が園庭以外にあり、優先的に使用できる。
- 自然体験活動に関する外部の研修等に参加した常勤保育者がいる。
- 対外的に自然体験活動に関する事例発表等を行いった常勤保育者がいる。
- 屋外での体験活動時には、安全管理に十分配慮した保育者の配置体制をとっている。
認定の手続き
1.申請できる団体
- 認可保育所
- 認可幼稚園
- 認定こども園
- 野外保育団体含む認可外保育施設等
2.運営形態や保育内容の違いに応じて2つの認定区分から選んで申請を検討
3.所定の申請書類を作成して知事に申請
4.認定審査委員会の現地調査と審査
当園のビオトープ活動の取り組み
ビオトープとは
ビオトープとは「自然の生き物がくらす空間」を意味する言葉です。
自然の草地や池、川、樹林など、野生の生きもののすみかとなるものはビオトープと言えます。
学校や園庭の敷地などに地域のビオトープを保全、創出した空間を、「学校・園庭ビオトープ」と言い、それは子どもたちが地域本来の自然の四季を感じ、野生の生き物と触れ合ったり、積極的に環境づくりに関わっている空間でなければなりません。
当園は、園の敷地内の屋外施設「おひさまファーム」を中心に、この「学校・園庭ビオトープ」に関わる活動に積極的に取り組んでおります。
豊かな自然の中で
小さい頃から自然とのふれあいが、豊かな感性や健康な身体を育みます。恵まれた自然環境のもとで環境教育にも力を入れています。
また、おひさまファームの田んぼでは「冬期淡水不耕起栽培」農法で、一年中水をはっています。そのためトンボのヤゴなど、たくさんの生き物が田んぼに住みついています。
菜園
おひさまファームは、クラス毎に育てた野菜が毎年豊作。給食にも取り入れ子どもたちも大喜びです。種まきから収穫まで、みんなで行います。
ビオトープに関する活動の様子
田んぼづくりとお米作りの活動
田んぼについて
当園の敷地内の「おひさまファーム」には、園児や保護者の方と一緒に作った田んぼがあります。
おひさまファームの田んぼはお米作り以外にも、田んぼに住む生きものの採取や観察など様々なビオトープに関する活動に使用されています。
そんなおひさまファームの田んぼは、2011年3月に計画がスタートし、その年の10月にお米の収穫を迎えました。
ここからは、わずか半年足らずで田んぼをつくるところから、収穫まで至ったこの時の様子をご紹介いたします。
田んぼができるまで
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2011年3月22日
田んぼにする土地の土壌検査を行いました。穴のあいた容器に水を入れて水位の変化を記録して、土地が田んぼに適しているか検査しました。
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2011年4月24日
田んぼにする土地を区画整理しました。
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2011年5月14日
園児のお父さん方の協力を得て、田んぼの枠の土台を固めて行きました。
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2011年5月23日
田んぼの横に井戸を掘りました。 写真は水が噴き出している様子です。井戸は15m掘りました。
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井戸が完成して田んぼに水が供給されて行きます。
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水が田んぼ全体に行きわたりました。
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しかし、水を張ってもすぐに引いてしまいます・・・。
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そこで子どもたちに田んぼで遊んでもらい、土壌を固める作戦を考えました。さらに土の中にあった以前育てた作物の根や枝を完全に撤去しました。
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そして遂に田植えが出来る状態になりました!
田植えから収穫まで
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2011年6月15日
子どもたちが1本ずつ先生から苗を受け取り、田植えをして行きました。不耕起栽培ですので田んぼを耕していません。その為、地面が硬いので穴をあけてその穴に苗を植えていきます。
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インタビューを受ける園長先生田んぼに対する思いを熱く語っています!
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皆の協力を経て田植えが終わりました。収穫がとても楽しみになりました。
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2011年7月3日
皆の期待を背負って稲はすくすくと成長していきました。
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2011年10月3日
多くの期待を背負った稲達は立派に成長して、ついに収穫の時期を迎えました。
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2011年10月18日
子どもたちは稲穂摘みで収穫を行いました。
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残った稲は大人たちが鎌で刈り取って束にしました。
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皆で網をかけます。いい笑顔ですね!
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刈り取った田んぼの状態です。何もなくなってしまった田んぼですが、水を張った状態を保ちました。そして水辺の生き物の住処になりました。
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2011年11月9日
千歯こきと足踏み脱穀機を使って収穫した稲を脱穀しました。
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脱穀した稲に混入しているワラを丁寧に取り除きます。
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2011年12月3日
精米は精米所に委託しました。
写真は精米後のお米です。お米になった姿を見て、子どもたちは手に持って匂いを嗅いでお米を実感していました。脱穀時の稲総重量 50kg ⇒ 精米後の稲総重量 30kg -
そして釜を使ってお米を炊きました。
おいしそうな匂いがしてきます!絶対おいしいです! -
焚き上がったお米のおいしそうな匂いを嗅いでいます。
こうして出来上がったご飯は皆でおいしく頂きました。
生きものに関する活動
当園ではおひさまファームの田んぼや畑など様々な場所で生きものの観察や採取、飼育に関する活動を行っております。
生き物を捕まえる子供たち
おひさまファームの田んぼで生きものを捕まえている様子です。お皿で簡単に捕まえることができます。
おひさまファームにはこんな生きものがすんでいます!
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オオアオイトトンボのヤゴ
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アジアイトトンボ
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アジアイトトンボのヤゴ
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マツモムシ
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シオカラトンボの羽化
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シオカラトンボ
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アキアカネ
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ナガメ
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ドジョウ
トンボのヤゴを捕まえる子供たち
田んぼの水をボールですくうと簡単にヤゴが捕まります。
捕まえたらバケツにいれて年長さんの廊下の大きな水槽に入れて飼います。
飼育しているヤギの餌を集める子供たち
飼育しているヤギ(メェーちゃんとミルキー君)の餌をとりに行った時の様子です。 飼育係さんたちは先生の話を良く聞いて草を集めてくれました。
ナズナはOK、たんぽぽはダメなど、子どもたちは草の名前も覚えながら集めてくれました。
採った草は1日干して年長の飼育係さんがメェーちゃんとミルキー君にあげてくれました。
ビオトープ活動の成果
当園はこのような活動が認められ、2013年全国学校・園庭ビオトープコンクール「公益財団法人日本生態系協会賞」を受賞しました!